今回の北欧ミニペックスに出品した僕の作品は、「安価な!使用済で楽しむスウェーデン切手」。
その狙いは、「ミニペックス=いろいろな参観者」という図式が僕の頭には昔からあります。
「いろいろな参観者」というのは、非郵趣家であったり、限られた狭い範囲の専門収集家であったり、経済的にももちろん「いろいろ」な方。という意味が含まれています。
ですから、「へー、こんな切手があったのか」とか「外国切手のことは知らないけど、綺麗で楽しそう」「僅かな資金で楽しめるのかな?」など、素朴に「安く集めてみたいな・・・」と思っていただけた方に、一つの方法として「お金をかけないでも、美しいスウェーデン切手は楽しめますよ」ということを提示したかったのです。
ですから、タイトルリーフにも積極的に「安く収集できる」とか「サブコレクションにどうですか」という趣旨の、普通なら書けないことをサラリと書いています。
これもミニペックスならではの方法。
スウェーデン切手と言えば、「真面目な発行政策」と「美しい印刷」がセットでの売りです。
そのため、切手印刷について解説したのが1フレーム目。
初期の凸版印刷から、凹版、グラビア、オフセット、グラビア+凹版、オフセット+凹版印刷まで。
そうした中で、下の切手は凹版印刷からの1ページ。
スウェーデンの凹版印刷と言えば、ライオン・シリーズに代表されるようなステックニー印刷が先ず思い浮かべられますが、実はスウェーデンでのステックニー印刷の時代は短いのです。
「じゃあ、その後は何なのさ?」となるわけですが、スウェーデンにおける凹版印刷の主流はゲーベル印刷機でした。
このことは、日本のスウェーデン切手収集家の中でも知らない人が多いほど。
日本では、ゲーベル印刷=凸版印刷というイメージが強いですが、ヨーロッパでは多くのゲーベル凹版印刷機が遣われています。
下のリーフは、そのことを紹介したもので1938年1月発行のゲーベル印刷機最初の切手(上段)と、印刷機の写真を組み合わせています。
この印刷機は、枚分8000枚の印刷能力を持っていたそうです。
スウェーデン切手のカタログを見ると1937年だけ新切手の発行が無いことに気がつきますが、1936年7月のグスタフ5世(左向き図案)25エーレ通常切手の発行後に、それまでのスティクニー印刷機を廃棄し、新たにゲーベル機を設置しています。
そのため、設置工事や機械調整を行っていた1937年は発行が無かったわけですね。
その後、スウェーデン凹版印刷を支えてきたのが、このゲーベル印刷機なのです。