江戸名所百景「霞がせき」

画像は、ドミニカが1997年に発行した広重の江戸名所百景から「霞がせき」。
描かれているのは江戸の正月風景なのですが、取材場所は今は中央省庁が集まっている霞が関の台地の上で、坂道を下った向こうには江戸湾が見えています。

図中には数多くの凧が上がり、大通りの両側には門松も描かれているので、正月の風景であることがすぐにわかりますね。

さて、その場所ですが『尾張版 江戸切絵図』を使って下に示しました。
赤矢印が「霞がせき」の通りで、本図が描かれた場所。
百景図の右側に描かれた大きな屋敷が松平美濃守(福岡藩黒田家)の上屋敷で、左には松平安芸守(広島藩浅野家)の上屋敷があるという大名屋敷の通り。
今では福岡藩の屋敷跡は外務省、広島藩の屋敷跡は国土交通省になっています。
画中に描かれた通りを下って行くと、桜田門から伸びてくる通りとの交差点になります。
この交差点ですが、切絵図を見ると十字路ではなく、東の現在の日比谷公園から来る通りとは段違いになっているのがわかりますが、この辺の線形は今も変わらず、現地に行くと道路中心線が微妙にズレているのがわかります。

これらの位置関係を、現代の地図で現わすと下図のようになり、広重は赤丸の辺りから矢印方向に描いています。

広重が描いた霞が関の風景を見ると、霞が関の坂上からは遠く江戸湾までが見通せる、とても展望のよい素晴らしい場所であったことがわかります。

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