昨年の8月に刊行された、久しぶりの現行切手解説本。
著者は、スタンプマテリアルの大村芳弘氏。
ベースになったのは、昭和62年だから今から34年前に発売された『現行切手の集め方』(下の右画像)。
実物を手にするまでは、前作の増補改訂版かと勝手に思っていたのですが、読んでみると全面改訂ということで書名変更も頷けます。
もちろん、ベースは前作なので生かせるところは生かした感じ。
各切手の解説は「切手の性格」という章立ての中で使用面に限定し、1額面5〜6行の解説で要点のみに絞った実にアッサリとしたもの。
でも、そうでなければ切手の分量が多いので大冊になってしまい、誰もが気軽に読めるハンディな解説書としてはこうしたスタイルも良いのではないでしょうか。
前作は「花・貝・文化財」シリーズまでを扱い130ページでしたが、今回は「新日本の自然」シリーズまでで230ページ、約200種の切手を扱っています。
この他には「現行切手の魅力」「消印の種類」「入手と整理」の章があり、製造面こそ抜けていますが、僕のような門外漢が現行切手の大要を知るには、ちょうど良いかも知れません。
一般的な収集家が現行切手は難しいと考える要因の一つが、製造面であることは間違いありません。
紙、糊、スクリーン、目打などの種類も多く、それらについて職人芸的とも言える高度な専門知識が必要で、しかも値段が目が飛び出るくらい高かったり・・・。
他の分野でもそうですが、現行切手だからといってそれらが全部揃っていなくてもよいわけで、最近でこそ以前のようにはいかなくなりましたが、安価で物量豊富な使用済をベースに自分で考えながら展開すれば、それだけでも見応え十分な現行切手コレクションができるはず。
本書は、そのような使用済で作る現行切手コレクションに向って、その気にさせてくれる解説書と言えます。
「現行切手は好きではない」と思っている、そこのあなたにオススメしたいと思います。