昭和14〜18年の『郵便切手』誌に、41回の長期に渡って連載された吉田一郎氏による「拇太消印の話」は、戦前のボタ印研究の到達点を示す解説として、今でも基本文献の一つに上げられます。
氏の定義する「拇太消印」とは無声印全体を示しているため、例えば白抜き十字印であったり、外郵書留用白抜きR印なども含まれています。
こうした構成にしたのは、無声印全体の流れの中で、今日の我々が言うところのボタ印を理解しようと考えていたものと思われます。
感心するのは図版に官報告示を全て載せている点で、当時としては斬新な視点だったのではないでしょうか。
また、東京支局印についても言及されているのは、流石という他はありません。
氏は各局の解説の中で、その希少性についても言及しているのですが、ハッキリとは記してはいないものの、希少御三家に根室、那覇、そして札幌を上げています。
根室と那覇は良いとしても、当時の感覚からすると札幌なんですね。
これはちょっと意外です。
那覇と根室は誰もが異存は無いと思いますが、3番目となると確かに難しいですね。
若松と宮崎、それに佐賀もあります。
そして、すぐ後ろには神奈川も。