大正10年8月発行の『郵楽』第8巻1・2合併号に掲載された、「フェラリー、コレクションの競売」という報文。
執筆者は、後に自らも郵趣雑誌を刊行することになる大柴峯吉。
大柴は、郵趣関係の様々な記事を残していますが、本文は恐らくその最初のものと思われます。
「フェラリー、コレクションの競売」というタイトルですが、そのうちの初回セールのレポートで、” Scott Monthly” と ” Journal The Philatelic Magazine” から要約した記事となっています。
今から約100年前の出来事ですが、当時の様子を知るにはなかなか面白い内容です。
会場のパリ・ドルオーホテル10号室には、フランスはもとより、イギリス、米国などからの収集家や商人が数十人集まったそうで、室内に入れず廊下にまで人が溢れたことを伝えています。
入札者の名前にはビュルス、シャンピオン、グリバート、キャスパリーなどなど、当時の有名どころがズラリと。
キャスパリーはご存知のとおり米国の収集家ですから、船で大西洋を横断し競売に参加していたことになります。
今なら、飛行機で8時間ほどで一飛びですから特に驚きませんが、当時は豪華客船で4、5日かけて大西洋を横断していたのですから、それを切手のためにと考えると驚きです。やっぱり、スゴイ金持ちですね。
この初回でもっとも散財したのは、地元フランスのビュルスで62万フランであったそうです。
当時の62万フランって、今だとどのくらいなんでしょうか?