「楠公はがき物語り」

僕の楠公はがき入門は、『官葉』3巻3号(1977年)に掲載された「楠公はがき物語り」から。
著者は、はがきならこの人と言われた山岸福治氏です。

当時、楠公はがきの流れを解説したまとまった解説は無かったと思います。
楠公はがきは駄物中の駄物で、注目されていたのは南洋などの外地使用とか、朝鮮楠公など、誰にでもわかる特殊なマテリアルだけだったと思います。
その他の普通の使用例は、大部分の人が見向きもしないつまらないモノって感じでしたね。

もちろん、僕も馬に喰わせるほどある楠公はがきなんて、つまらないモノだと思っていました。
なぜ、そんなことを思っていたのかと言うと、楠公はがきの概要を知るまとまった解説に接することがなかったので、その楽しさを知る機会がなかったわけです。

本解説は、6ページに渡り各シリーズごとのアウトラインが述べられている他に、下の画像のような表が掲載されています。
この表には、楠公はがきの用紙も含めた分類に、消印の細分類、料金などの推移が時系列に整理されており、文字では理解し切れない相互関係をビジュアル的に見ることができる優れものでした。
この表のおかげで、楠公切手の使用例のポイントを掴むことができた、と言っても過言ではないでしょう。
今でも一見の価値は、十分にあります。

山岸氏は、本稿をベースに後年になって名著(と僕は思っています)『日本通常葉書要覧』を出版されています。
本書には、上掲の表を通常葉書全体に収録範囲を拡大した、巨大な表が別刷りの折込み付録として付いていますが、こちらの方は大きすぎて机の上に広げるには難があります。

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