戦前風景印・群馬湯原局

戦前の風景印コレクションの中から、群馬湯原局のもの。
この印は、風景印コレクションでもあり、鉄道コレクションでもある、いわば二重国籍のマテリアル。
と言うことで、今日は鉄道としての見方でご紹介です。

この風景印は、戦前、戦後を通して鉄道関係図案の風景印としては、傑出した内容だと思っています。
下の画像は、風景印の上半分の拡大図ですが、そこに描かれているのは上越線の湯桧曽(「ゆびそ」と読みます)ループの鳥瞰図。
この描かれ方が、もう「素晴らしい」の一言です。

ループ線と言うのは、山岳路線の勾配緩和のために円を描きながら山を登る線形の一つで、この湯桧曽ループや北陸線鳩原ループ、肥薩線大畑ループが特に有名。
もちろん、他にも有ります。

風景印では、ループの入口にあたる「第一湯桧曽トンネル」坑口から、第二、第三湯桧曽トンネル、湯桧曽橋梁を通って、第四湯桧曽トンネル坑口までを描いています。

この状況を知るには、下の地形図と風景印を見比べるのが、わかりやすいでしょう。

さすがに風景印では描き切れませんが、第一湯桧曽トンネルと第二湯桧曽トンネルでグルリと山を1周しながら勾配を上っていく様子が、地形図から読み取れると思います。

風景印では、第二湯桧曽トンネルと第三湯桧曽トンネルの間に列車が描かれていますが、当時はちょうどこの場所に湯桧曽駅がありました。
この湯桧曽駅は、今では山の下、つまり第一湯桧曽トンネル坑口の手前に移転しています。

風景印の絵的というよりも、鉄道マテリアルとして素晴らしい風景印です。

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