レール・ツェッペリン

画像は、セント・ルシアが1986年1月に発行した「世界の有名列車」からの1枚で、もちろん収集家用として発行されたもの。
ですが、こうした切手を使わなければならない時が出てきてしまうところが、完全に発行元に足下を見られた状態と言えます。

描かれているのは、1931年6月21日の早朝にハンブルグ〜ベルリン間で試験走行が行われ、平均速度150キロ、一部区間では230キロという驚異的なスピードを記録した「レール・ツェッペリン」号。

作ったのは「有限会社飛行軌道」という会社です。
この会社は、航空技術者であったフランツ・クルッケンベルクが起業したもので、彼は元々は軍用航空機の技術者だったのですが、ベルサイユ条約の影響により失業してしまいました。
そこで、航空技術を鉄道に応用しようということで会社を作り、試作したのがこの列車というわけです。

0系新幹線に似た流線形。
そしてなによりも、お尻に付いたプロペラの存在が元航空技術者が設計したことを物語っています。

試験走行により、たしかに早いことは実証されたのですが、それよりもこの列車が全く鉄道には適さないことも実証されてしまいました。

鉄道と言えば、スピードと同じくらい重要なのが大量輸送ですね。
ところが「レール・ツェッペリン」には、お尻にプロペラが付いているので、2両編成、3両編成、あるいはそれ以上の車両を繋げることができません。
つまり、単車以外には走り方が無いわけで・・・。
まぁ、地方ローカル線なら単車でも良いですが、そもそもそんな路線には超スピードの車両はいらないわけでして。

それに余りに早すぎるので、同一線上の列車を全て追い越させるために退避をさせなければなりません。
それには、退避線の増設も必要になってきます。
先に試験走行が「早朝」と書きましたが、実は「早朝」とした理由がそこにあるのです。
営業列車が動き出す前。
これなら退避列車を出さずに済みます。

あと、もう一つ。
お尻にある巨大なプロペラの問題が・・・。
プロペラが高速で回り出すと、ものすごい風圧になるんです。
例えば、通過する駅で客がホーム上に立っていたりすると、あまりに危険すぎ。
そもそも、各種鉄道施設がそうした基準で作られていませんからねぇ・・・。

まぁ、航空技術者が鉄道車両を設計すると、こんな感じになってしまうという見本みたいなものでしょうか。
もちろん、試作車両だけでお払い箱なのは言うまでもありません。
失敗例としては、面白いと思います。

レール・ツェッペリン」への1件のフィードバック

  1. レールゼッペリンの切手は、この他にパラグアイとマダガスカルから出ていますが、いずれも収集家向けの切手ですね。三浦

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