国立公文書館に、『鉄道省文書』と呼ばれる文書群が収蔵されています。
これは鉄道省と全国の私鉄各社との間でやりとりされた、申請や許認可事項を中心とした公文書をまとめた簿冊で、明治から戦後までの膨大な量が保管されています。
仕事の性格上、この史料を見せてもらうことが多いのですが、各社を丹念に見て行くと、鉄道郵便扱いではない鉄道線路として、地方の小私鉄が数多く利用されていることがわかります。
例えば、千葉県に九十九里鉄道という軽便鉄道が大正15年から昭和36年まで存在(現在はバス事業のみ営業)していたのですが、史料中に「郵便物搭載」の記述が一行だけ記されていました。
そこで、帰宅後に郵便線路図で確認すると、確かに載っているのです。
それが下の画像です。
赤丸で囲った東金郵便局の最寄りである国鉄東金駅から東方向に1本の郵便線路が描かれています。距離は8.6キロ。これが九十九里鉄道になります。終点はひらがなを赤丸で囲った「かずさかたがい」で、そこから0.5キロの所に片貝郵便局があります。
九十九里鉄道というのは、田舎のホントに小さな小さな軽便鉄道で、年代物のかなりボロボロの車両が走っていました。
そんな鉄道でも、しっかりと郵便線路に組み込まれていたとは新鮮なオドロキ。
どんな鉄道だったのか興味を持たれた方は、ネットで検索してください。
ネット上でも概要や、郵便を運んでいたであろう小さな車両を見ることができます。