『2.26事件戒厳令下の郵便検閲』

2.26事件の戒厳令に伴い郵便検閲が行われ、対象郵便物には大形で立派な検閲印が押されているのは、その希少性と共に有名ですね。
僕も「1通欲しいな」とは思いますけど、まぁ、それは無理というものでしょうねぇ・・・。

その2.26事件戒厳令下の検閲印についての基本文献と言えば、これでしょう。
平成12年に久留米切手会から出されたものです。

1部 2.26戒厳令司令部査閲印の調査
これは丸島一廣氏の遺稿で、昭和63年12月8日現在で把握されていた26例についてデータと画像の紹介が行われています。

2部 追加実例
1部で紹介された26例から漏れていた4例について、データと画像が紹介されています。
これらを合わせると、平成12年の段階で30例が知られていたことになります。

3部 各種資料
2.26事件当時の史料や、その後の新聞記事などがまとめられています。

1部以外は、郵便史の第一人者であった裏田稔氏がまとめられています。
裏田氏の解説で特に目からウロコだったのは、日本近現代政治史を専門とされている長井純市氏(法政大学教授)が『史学雑誌』95巻12号に太平洋戦争中の郵便検閲について執筆されていることを初めて知ったこと。
長井氏は、当時検閲を行っていた人達から直接聞き取り調査をされているので、貴重な資料であることがわかります。

本書は資料性も高く、この時代に関係する収集家は手元に置きたい一書です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *